いばらきコンテンツコレクション4

HOME  > プロジェクトからのお知らせ  > いばらきコンテンツコレクション  > いばらきコンテンツコレクション4


2019年2月に茨城県を拠点として活動するクリエイターの展示会

「いばらきコンテンツコレクション4」

を茨城県水戸市M-SPOにて開催しました!

 


 

 

 

1 開催概要

  1. 名称:いばらきコンテンツコレクション4~いばらきのクリエイターに出会う2日間~
  2. 主催:茨城県(茨城県産業戦略部産業政策課コンテンツ産業担当)
  3. 会場:まちなか・スポーツ・にぎわい広場(M-SPO)アリーナ・スタジオ(水戸市南町3丁目6)
  4. 開催日時:2019年2月22日(金)12:00~18:00, 23日(土)10:00~17:00

 

 

 

2 内容

ステージプログラム"コンテンツ活用シンポジウム"

【実施日時】2019年2月22日(金)14:00~16:00
【登壇者】
モデレーター:蓮見 孝氏(筑波大学名誉教授・札幌市立大学特任教授)
事例紹介1『畳店のブランディング戦略』
渡部 真史氏(ロカ ブランディング代表)
事例紹介2『いばらき農家の納豆』
佐藤 正和氏(株式会社文化メディアワークス 代表取締役)
事例紹介3『ひたちなか海浜鉄道とクリエイターたち』
小佐原 孝幸氏(デザイナー、常盤大学助教)
有阪 加奈子氏(ハートケアセンターひたちなか 施設長)
吉田 千秋氏(ひたちなか海浜鉄道株式会社 取締役社長)

 

【内容】

茨城県では、事業者のブランド力UPとクリエイターのデザイン力UPを目指して、「コンテンツ活用ブランド力UP補助金(以下、B-UP補助金)」「いばらきデザインセレクション」を展開しています。このシンポジウムでは、クリエイターと連携して経営課題の解決に取り組む、B-UP補助金の補助対象事業として採択された茨城県内の3つの取り組みを題材に、デザインの力、コンテンツの活用方策、ブランディングに取り組む視点などを議論しました。

 

 

 

①趣旨説明:モデレーター(蓮見氏)

はじめに、モデレーターの蓮見氏より、デザインとは何か、コンテンツとは何か、ブランディングとは何か、という本シンポジウムの趣旨説明がありました。(以下、一部抜粋)

 

 

 

②事例紹介1『畳店のブランディング戦略』(渡部氏)

東海村にある「有限会社髙野好見畳店」のブランディング活動に携わっている、ロカ ブランディングの渡部氏より、事例紹介がありました。

 

 

畳業界は、畳の需要減少と外国製の安い製品に押され、この30年で9割が廃業してしまったという厳しい環境にあります。そのような逆風の中でブランディングプロジェクトを始めるにあたり、まず行ったことは、会社及び事業の強みと弱みを把握することでした。

 

 

時間をかけてじっくり話し合い、課題を明確にしたうえで、以下に取り組むことにしました。

 

 

ブランディングに当たっては、コーポレートアイデンティティ(CI:会社のミッション、コンセプトの明確化)、プロダクトアイデンティティ(PI:CIを商品に落とし込む)、ビジュアルアイデンティティ(VI:ウェブ、パンフレットなど伝えるデザイン)がしっかり共存することを意識して実践しました。

 

髙野好見畳店の掲げるミッション

 

その結果を、ウェブサイト、パンフレット、名刺デザイン等に表現しています。髙野好見畳店の公式WebサイトやFacebook等をぜひご覧ください。
以前は、社内の専務1人が担ってきたブランディング事業のディレクションを、現在は専務とクリエイティブディレクター(渡部氏)の2人で行う仕組みに変えました。その結果、発信するもの全てをブランド化し、発信できるようになりました。デザインやクリエイティブを活用しながら、会社の持っていた良さを最大限に引き出す活動を行ってきたことで、売上も上がっている状況になっています。

 

 

 

③事例紹介2『いばらき農家の納豆』(佐藤氏)

納豆メーカーである(有)菊水食品、大豆を栽培する6件の農家、茨城県内にある3社のデザイン会社が協働して実施している『いばらき農家の納豆』プロジェクトについて、参画しているデザイン会社の一つである(株)文化メディアワークスの佐藤氏より、事例紹介がありました。

 

 

茨城県産の有機栽培大豆を使って作った納豆を、6個入りパッケージ1,710円(いいなっとう:税抜価格)で、2019年1月から販売を始めました。このプロジェクトを1つの事例として、『売れるデザイン』はどういうものか、お話ししたいと思います。

元々、菊水食品では農家毎に納豆のOEM製造を行っていました。それは、個々の農家が旬の野菜を詰め込んだセットを販売契約した個人の方に定期的に届けるサービスに、農家オリジナル納豆を加えるためです。農家は、自分たちが栽培した大豆を菊水食品で納豆にしてもらい、それを農家オリジナルブランド商品として販売しています。
「茨城県内で地大豆を使った納豆」をブランド化したい、ただし個々の農家がバラバラで取り組んでも難しい、それならば、『いばらき農家の納豆』としてまとまってブランド化しよう、と菊水食品の社長が考え、このプロジェクトが始まりました。これまでも菊水食品にOEM製造を依頼していた3軒の農家とその紹介で集まった3軒の農家、そして納豆を製造する菊水食品、茨城県内の3社のデザイン会社の三位一体で、2年間かけて作り上げました。

 

いばらき農家の納豆

 

製品パッケージは、ねずみ色の箱に農家の方の似顔絵イラストが書いてあるものです。パッケージとしては決して派手でもなく、かわいらしい色合いでもありません。モデルとなった農家の方からは、「もっと可愛らしいデザインの方がいいのではないか」の声もありましたが、現在では順調に売れています。

"作り手の顔が見えるパッケージ"これがポイントです。この商品は、一般流通ではなく、この値段でも食べたいと思うこだわりのある人にターゲットを当てて売る戦略を取っています。第一弾として3,000セットを販売する予定です。

販売開始にあたって、プレスリリースをしてテレビ・新聞等のメディアに取り上げてもらいました。プレスリリースは商品のPR・販売促進を主目的としていますが、別の効果も生み出しました。製作者側のモチベーション向上です。このプロジェクトは三位一体で進めていますが、関わる人数が多くなればなるほど、まとまるのが難しくなります。プレスリリースによってメディアに取り上げられ、外部から評価されることで、農家、納豆メーカー、デザイン会社のつながりを強くし、プロジェクトに取り組むモチベーション向上につながりました。

このプロジェクトは、茨城県産地大豆を使った納豆のブランディングですが、農業王国である茨城県から、農村文化・農業のある暮らしを発信していければと思っています。このプロジェクトを通して、地域資源のブランディングは、その商品の売上増加だけでなく、既存の商品・サービスへの波及効果やアグリツーリズムへの展開など、枝葉を伸ばしていける可能性があるということを感じました。

 

 

 

④事例紹介3『ひたちなか海浜鉄道とクリエイターたち』(小佐原氏、有阪氏、吉田氏)

約10年前、ひたちなか海浜鉄道湊線は廃線の危機に瀕していました。そんな中、新たに第三セクターの「ひたちなか海浜鉄道株式会社」が立ち上がり、様々な地域活性化の取り組みが展開されてきました。デザインを一新した駅名標がグッドデザイン賞を受賞、ブランド力UP補助金を活用して商品化した『駅名菓トレンシェ』がいばらきデザインセレクション2018知事選定を受けるなど、デザインでも高い評価を受けています。この一連の取り組みについて、駅名標や駅名菓トレンシェのデザインを担当したデザイナーの小佐原氏、駅名菓トレンシェを企画・製造しているハートケアセンターひたちなかの有阪氏、ひたちなか海浜鉄道の吉田氏より、事例紹介がありました。

 

◆駅名標デザイン(小佐原氏)
デザインとは何か、それは問題解決だと思います。例えば、見づらいマップがあれば見やすいマップをデザインするというように、問題に対してそれを解決する手法の一つがデザインです。逆に言えば、良い問題を見つけることができれば、その先には良いデザインがあるはずです。
廃線に瀕していた湊線でしたが、駅周辺にはひたち海浜公園や那珂湊おさかな市場など、素晴らしい観光資源がありました。そこで、湊線とその周辺の地域資源を取り入れた絵文字を作り、それを発信していくことを考えました。その媒体として目を付けたのが、駅を利用する人が必ず見る『駅名標』です。

 

駅名標

 

例えば「日工前」の駅名標には、工具メーカーの日立工機が近くにあるので工具を文字に入れました。このような駅名標を湊線の9駅に仕掛けたところ、家族が1駅1駅降りて撮影しながら旅行を楽しむ、タレントさんが1駅ずつ観光資源や特産物を紹介する番組が作られる、などのリアクションが起こりました。地域資源をデザイン化することで、湊線に人を呼び込む効果を生み出しました。

この絵文字を使ったデザインを『リソースグラム』と名付けました。「資源(resource)」と「描かれた(gram)を合わせた造語です。リソースグラムである駅名標は新しいコミュニケーションデザインとして優れているという評価を受け、グッドデザイン賞を受賞するとともに、全国の中学校で使用されている美術教科書にも取り上げられています。このリソースグラムの活用は、駅名標だけに留まらず、ひたちなか市の観光案内版や芝居のタイトルロゴにも使用されています。

 

◆駅名菓トレンシェの開発(有阪氏・小佐原氏)
ハートケアセンターひたちなかは、精神障害をお持ちの方が通所しながら作業する事業所です。ひたちなか海浜鉄道湊線の中根駅と高田の鉄橋駅の間の線路沿いに施設があります。

 

 

ハートケアセンターひたちなかでは、現在66名が作業しています。精神障害をお持ちの方の症状の特徴として、疲れやすい、集中力が続かない、というのがあります。1日4時間、体調に合わせて作業していますが、1時間程度のみ働ける方、毎日来ることが困難な方など、様々な働き方があります。少しでも作業に携わった方には、作業訓練の工賃をお支払いしていますが、ここにハートケアセンターひたちなかの課題があります。工賃が低いのです。平成29年度の全国平均が15,603円/月。これでも低いのですが、茨城県の平均は13,198円/月、ハートケアセンターひたちなかは8,509円/月なのです。売れるものを作って売上を増やし工賃をあげる、この課題を解決するために動き始めました。
もう一点、「福祉だから」「障がい者が頑張って作っているから」で購入されるのではなく、きちんと商品として評価されて購入してもらいたい、という思いもありました。そして、デザインの力を活用して開発した商品が『駅名菓トレンシェ』です。

「グッドデザイン賞を受賞した駅名標を使った商品を作りたい」「そのデザイナーさんと知り合いたい」この思いをことあるごとに口に出していたところ、「おらが湊鐵道応援団」の団長さんから、デザイナーの小佐原さんをご紹介していただきました。何となく敷居が高く、偉そうだと勝手に想像していたデザイナーのイメージが、小佐原さんと出会って大きく変わりました。相談しやすく、一緒に作り上げていけそうな感触をすぐに持ちました。そして、ひたちなか海浜鉄道さんにも商品化の許可と販売時のご協力のお約束をいただいたり、B-UP補助金の採択を受けたりと、様々な協力と支援を得て、『駅名菓トレンシェ』が完成し、販売を開始することができました。

 

駅名菓トレンシェ

 

 

『駅名菓トレンシェ』は、平成30年5月の「ひたちなか海浜鉄道開業10周年記念祭」で初めて販売し、準備した100箱を完売することができました。販売に先立って、B-UP補助金の茨城県担当者に手配していただき、記者会見を行いましたが、その記事が新聞に掲載されたことが、完売できた要因の一つだと思います。
本プロジェクトを通じて、障害を持っている方が「自分たちも地域に関わっており、皆さんに喜んでいただける商品を作っている」という誇りを持てる商品ができたことがとてもよかったことだと思います。プロジェクトを立ち上げるきっかけとなった「工賃アップ」も実現していきたいと思います。

また、この商品は、いばらきデザインセレクション2018で知事選定を受けることができました。審査の過程で、商品のデザインや販売について講評とアドバイスを受けることができたのは、とてもよい機会となりました。審査員の一人からは「語れるお土産」という、駅名菓トレンシェにふさわしい言葉もいただきました。そういったアドバイスを参考に、『駅名菓トレンシェ』を改良し、湊線の延伸に合わせて、2つの新しい味を加える予定です。新しい『駅名菓トレンシェ』を2019年5月の湊線開業祭でお披露目しようと、全力で開発に取り組んでいますので、開業祭にお越しの際は、ぜひハートケアセンターのブースの方にお立ち寄りいただけると幸いです。

 

◆ひたちなか海浜鉄道と現状とこれから(吉田氏)
ひたちなか海浜鉄道株式会社は、2008年の4月1日より茨城交通の鉄道部門を分割して発足しました。その当時、モータリゼーションが進み、全盛期の1/5ほどにお客様が減っていました。ただし、100年以上も続く歴史がある鉄道であり、高校生や免許返納した高齢者にとっては非常に大切な交通機関であるので、赤字覚悟でもなんとか鉄道を維持していこうと、地元ひたちなか市と茨城交通、市民の方が手を携えて第3セクターの形で始まった鉄道会社です。

 

ひたちなか海浜鉄道

 

 

湊線は、ひたちなか市内だけを走る鉄道です。始点から終点まで14.3kmを30分かけて走る、非常にのんびりした鉄道です。会社発足の経緯もそうでしたが、ひたちなか市と市民が賑わいイベント等を通じて鉄道を盛り上げようと頑張っています。「おらが湊鐵道応援団」という市民団体もあります。

現在は着実に乗客数を増やしている湊線ですが、このように鉄道が元気になってきた要因の一つに、それまでクローズアップしてこなかった鉄道沿線の地域資源にスポットライトを当てて、その魅力を再発見し発信していったことがあげられます。ひたち海浜公園や那珂湊おさかな市場を始めとした地域資源を、リソースグラムの駅名標という新たな手法でデザインし発信していく、その駅名標が『駅名菓トレンシェ』の商品開発につながる波及効果を生み出しています。デザインの力強さを感じています。

現在、ひたち海浜公園の繁忙期には終点の阿字ヶ浦から無料シャトルバスを運行していますが、湊線自体をひたち海浜公園まで延伸する計画があがっています。発足から11年、様々な取り組みの成果により、乗客数が増えて鉄道が元気になり、人が大勢訪れることで沿線も元気になるという循環ができ始めています。

今後も、ひたちなか市、市民、事業者等と様々な場面で連携し、デザインを大切にしながら事業を進めていきたいと思います。

 

 

 

⑤質疑応答・総括

事例紹介後の登壇者と会場の質疑応答では、活発なコメントとディスカッションがありました。その後、モデレーターの蓮見氏より、各事例紹介・質疑応答を総括するコメントをいただき、本シンポジウムを終了しました。以下、その一部をご紹介します。

 

◆質問:海外戦略や海外へのアピールについてどう考えているか?

 

◆コメント:自分は写真の仕事に就くが、機会があったらデザインという仕事に携わりたい。

 

◆総括コメント:モデレーター(蓮見氏)

 

 

 

トップに戻る